Qt Developer Days 2012 North America まとめ

2012/12/6 – 7 と Santa Clara で開催された Qt Developer Days 2012 North America に参加してきました。イベントの全体的な感想をこの記事に書こうかと思います。キーノートや特に面白かったセッションの感想は以下の記事に書いていますので、そちらを参考にしてください。

Dev Days 自体への参加が二年ぶり、アメリカでの Qt Dev Days への参加は三年ぶりとなるので昨年との比較は難しいところですが、Nokia の撤退と、準備期間の短さなどから少し規模は小さくなったのかなという感じでした。雰囲気的にも Qt 5.0.0 のリリース直前というのも関連してか比較的落ち着いている感じがしました。これまでと違うところは、テクニカルトラック・ビジネストラックという区分けがなくなったこと、セッションを話す人が非常にバリエーション豊かになったところでしょうか。セッション公募の影響も大きいのでしょう。KDAB, ICS, Digia といった主催の人はもちろん、Blackberry や Open WebOS、オープンソースコミュニティからは KDE による多数のセッションも開催され、BoF もいくつか開催されていました。

多少の変化は感じましたが、大体の所は今までの Qt Dev Days だった感じです。Nokia 撤退後の混乱もようやく落ち着いてきた感じなのでしょうか。とはいえ顔ぶれも大きく変わりました。あらたな Qt の始まりとして今後も続けていってもらえればと思います。

最後に、資料関連の記事を。

Qt Developer Days 2012 North America の資料

Qt Developer Days 2012 Europe に引き続いて、North America の資料も公開されています。

  • Detailed Schedule

からリンクされている、各セッションのページにスライドへのリンクがあります。すべてのセッションではありませんし、キーノートさえスライドもビデオもなかったりと Europe の資料 だけでも良さそうな感じですが、一部アップデートされている資料もあるようです。

Plasma Active を Nexus 7 で動かす

Plasma Active とは KDEbasysKom, OpenSLX が進めているプロジェクトで、KDE とその Plasma をベースにタブレット向けの UX を作成しています。

ネットブック系のハードウェアで動かされることの多かった Plasma Active ですが、その公式ハードウェアとして期待された Vivaldi もリリースされず、少し試しにくい状態にありました。

そんな中、Nuxus 7 で Plasma Active を動かしたという記事がありましたので紹介します。

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12/15 超勉強会の資料

盛大に持ち時間を勘違いして30分枠用に作ったものですが、12/15 の「年末恒例 #QtJP #MeeGoJP #KDE #TizenJP #FirefoxOSJP #LinaroJP 超勉強会2012」で使った資料を公開します。

勉強会の模様は以下の Togetter などを参考にしてください。

http://togetter.com/li/423046

ちなみに、Input Method 関連の変化を入れるのを忘れてましたが、要望があれば簡単な解説記事でも書きたいと思います。

Qt 5.0.0 リリース

Qt 5.0.0 がリリース されました。

OpenGL の活用を中心にいろいろなところが変化した Qt 5 ですが、リリースの携帯も変更になっています。今回のリリースではバイナリパッケージが SDK 形式になっていて、Qt 5.0.0 のバイナリに加えて(Qt 5.0.0 でビルドされた)Qt Creator 2.6.1 も同梱されています。おそらく今後のアップデートは以前の Nokia SDK のようになると思われます。Qt 4.8 向けの環境もあるといいのですが。

Qt Project では既に 5.0.1 と 5.1 に向けて動き始めています。5.0.1 は一月の中旬、5.1 は四月末か五月の始め辺りが目処でしょうか。バグなどを見つけたら フィードバック しましょう。

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Qt Creator 2.6.1 リリース

Qt Creator 2.6.1 がリリースされました。2.6.0 のバグフィックス版です。

同時にリリースされた Qt 5.0.0バイナリパッケージ には Qt 5.0.0 でビルドされた Qt Creator 2.6.1 のバイナリも含まれていますが、こちらは Qt 4.8(.3?) でビルドされています。お好みのパッケージをどうぞ。

What’s new in QtWebKit in Qt 5

Qt5 で大きく代わったモジュールとしては Qt Quick や QtGUI があげられますが、もう一つがこの QtWebKit になるでしょう。Qt5 では WebKit2 への移行が最初から予定されていましたが、このセッションではその詳細を Simon Hausmann が説明しました。

WebKit には 150 万行のコードがあり、(WebKit を含めた場合の) Qt 全体の約 30 %を占める非常に大きなモジュールとなっています。
セッションでは大きく以下の話題に分けて説明しました。

  • WebCore
  • Qt C++ API
  • プロセス分離
  • QML2 インテグレーション
  • 今後の展望

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Qt Developer Days 2012 Europe のビデオが公開

Qt Developer Days 2012 North America のレポートがまだ終わっていませんが、先月に開催された Qt Developer Days 2012 Europe の プレゼンテーションのビデオ が公開されました。

なお、各プレゼンのスライドも KDAB のページ で公開されています。

それぞれ英語にはなりますが、興味のあるところはコードだけでも追ってみてはいかがでしょうか。

Wayland Overview

個人的に初日のセッションの目玉はこれ。X Window System(以下 X) を中心に数々の設計・実装を行ってきた Keith PackardWayland と Qt について話すという、Qt に興味が無くても Unix 系のデスクトップに興味のある人にはとても面白いセッションだと思います。Qt Developer Days 2012 Europe にはなかった、North America だけのセッションです。

まずは Wayland の概要の説明から。ここに限らず全体的に X との比較が入ってくるので、X に関する知識、とくに伝統的な Xlib プログラミングと近年のプログラミング手法に関する知識がある方が理解は深まる内容でした。欲を言えば、その辺りの時代による変化の説明が欲しかったところでしょうか。

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