Qt Creator 3.1 のベータ版がリリースされました。
Qt Creator 3.1 の主な変更点の一つが Clang コードモデルです。コードモデルとは Qt Creator 内でプロジェクトをパースしその内容を記憶するモデルのことで、エディタでのハイライトやコード補完などに利用されています。これまでの Qt Creator では独自のコードモデルを使用していました。独自コードモデルは高速ですが、複雑な構文には対応していなかったり、C++11 や C++14 といった新機能への対応が不十分であることが問題でした。そこで、既にコンパイラとして実績のある Clang を利用したコードモデルを作成することで正確性を向上させることが可能となります。
Qt Creator 3.1 ベータ版のバイナリパッケージにはすべてこの Clang コードモデル用プラグインが同梱されていますが、デフォルトでは無効化されています。試す前にメニューから「ヘルプ」→「プラグインについて」→「C++」とたどって「ClangCodeModel」にチェックして、Qt Creator 再起動後に「オプション」→「C++」→「Code Model」から希望する言語のコードモデルを “Qt Creator Built-in” から “Clang” に変更してください。
自分でビルドする場合には別途 libclang が必要となります。詳しくは README を参照してください。
現状ではまだテスト段階のためすべてのコードモデルが Clang に置き換わったわけでは無く、一部は従来のコードモデルを使用しているようです。また、従来のコードモデルで問題が発生していなければ違いは実感できないかもしれません。
Clang コードモデル以外には外部コマンドを用いてコードの整形を行う Beautifier フォーマッターが追加されています。こちらもテスト段階のためデフォルトでは無効化されていますので、ClangCodeModel と同様に有効化してください。
その他の変更点としては、GDB 使用時に Python スクリプトサポートが必須条件となりました。Mac OS X で(古い) XCode 付属の GDB を使用する場合や、組み込み向けなどで古い or 制限された GDB を使用する場合には注意してください。他には Android サポートや QML Profiler の改善などが行われています。