Qt5 の次のリリースは 5.0.2 になる予定ですが、開発のメインは Qt 5.1 です。
5.1 では今のところ以下のモジュールが新たに追加される予定です。
- Qt X11 Extras
- Qt Mac Extras
- Qt Sensors
- Qt Serial Port
- Qt Quick Controls
Qt X11 Extras と Qt Mac Extras は各プラットフォームのネイティブ機能との連携を強化するためのモジュールです。小さなモジュールですので機能としては少ないですが。ちなみに、Qt Windows Extras も最近リポジトリが作成されました。Qt Sensors は Qt Mobility にあったモジュールです。Qt Serial Port は Qt4 の時からシリアルポートを利用する場合の定番モジュールでしたが、Qt Project の正式なモジュールとして採用され 5.1 に含まれることとなりました。Qt Quick Controls は Desktop Component と呼ばれていたモジュールです。
残念ながら、Qt3D については 5.1 での採用は見送られました。これに関しては Qt3D のメンテナである Sean Harmer が説明 しています。これによると Qt3D の現在の実装は OpenGL の固定機能パイプライン(Fixed function pipeline)に依存した実装になっており、前方レンダリング(Forward Rendering)しか対応していないそうです。しかし、3D グラフィックスの世界では遅延レンダリング(Deferred Rendering)など技術もあり、よりシェーダーを活用するアーキテクチャへと向かう必要があります。このため根本から Qt3D に手を入れる必要があり、それに伴って API が変更されることも考えると、無理して 5.1 に含めることでその後の開発が制限されることを避けたいということのようです。この辺り 3D グラフィックスに興味の有る人は是非原文を読んでみてください。5.1 に含まれないことは残念ですが、説明された今後の方向性は理解できますし、楽しみです。
その他の 5.1 の目玉としてはやはり Android と iOS 対応でしょう。どちらも 5.1 に向けてのマージが始まっています。もっとも、正式な対応はどちらも 5.2 以降になると思います。
なお、QtWayland が 5.1 に追加されるとの情報もありますが、真偽は不明です。
最後にスケジュールですが、三月の半ばに feature freeze を行って、4月末にリリースとなっています。当初の予定よりは少し遅くなるとのことです。