Qt 5.5 のベータ版がリリースされました。
5.5 の主な変更点は以下の通りです。
3D & OpenGL 関連機能
Qt Canvas 3D と Qt 3D の二つのモジュールが追加されました。
Qt Canvas 3D は Qt 5.4 と同時期にテクノロジープレビュー版としてリリースされていましたが、
Qt 5.5 で正式版となりました。
WebGL ライクな API を Qt Quick に追加するモジュールになります。
ローレベルな API ですが、three.js などの WebGL 用の
ライブラリを使用することもできます。
Qt 3D は 5.5 ではテクノロジープレビュー版としてリリースされます。
5.6 の正式リリースに向けてブラッシュアップされる予定ですので、
興味のある方は試してフィードバックして下さい。
Qt 3D 2.0 の詳細は ドキュメント や KDAB のブログ を参照してください。
Qt Quick & Multimedia 関連
QML / Qt Quick 関連ではその基礎となる QML Engine のバグ修正やパフォーマンス改善などが行われています。
また JavaScript の型付き配列がサポートと、new メソッドでユーザー独自の型を作成するためのインターフェースが追加されました。
また、従来は商用版のユーザーだけに提供されていた Qt Quick Enterprise Controls がオープンソース版の
Qt Quick Controls に統合されました。また、同時に TreeView が追加されています。
この変更に伴ってオープンソース版の Qt Quick Controls のライセンスが LGPLv3 になっていることに注意して下さい。
Qt WebEngine & WebView
Qt WebEngine は Chromium 40 ベースになりました。
ファイルのダウンロードやキャッシュ、クッキー、設定に関する API が追加されています。
また、Qt WebChannel サポートが組み込まれたため、より簡単に WebChannel を使用することができます。
Qt WebView モジュール(ネイティブの WebView のラッパーモジュール)は
対応プラットフォームにこれまでの iOS, Android に加えて OS X が追加されました。
また、API の追加も行われています。
Qt Location
マップや経路情報などを提供する Qt Location モジュールがテクノロジープレビュー版として追加されました。
Qt 5.6 での正式リリースに向けてフィードバックが募集中です。
Qt Location ではいくつかのマッピングプロバイダーを切り替えることでできるようになっており、
Nokia Here, Mapboc, Openstreetmap が現在サポートされています。
その他
その他にも多数の変更が行われています。
アルファ版のリリース記事 も参考にしてください。
機能と直接関係ないところでは サポートプラットフォーム及びコンパイラ の変更が行われています。
Linux では RedHat Enterprise Linux のサポートが改善されました。
OS X では 10.8, 10.9, 10.10 がサポートされます。
(明記されていませんが、10.7 のサポートが外れるようです。)
Windows 10 はリリース前であるためサポート対象にはまだ追加されませんが、
プレリリース版は開発に使用されていますし、Windows 10 正式リリース後に
Qt 5.5.x で正式対応する予定です。
非推奨モジュール
Qt WebKit, Qt Declarative(Qt Quick 1), Qt Script の各モジュールが非推奨になりました。
これらのモジュールは Qt 5.5 でも利用可能ですが、今後はそれぞれの代替モジュールの利用が強く推奨されます。